人は一体、「何のため」に音を立てて変わるのか─【幸せ】の4つの因子との関係性

こんにちは。 企業変革パートナー 株式会社チェンジウェーブ佐々木裕子です。

「佐々木さんは、人や組織の変化と、人の【幸せ】は、どう関係すると思っているの? どうして僕と共同研究したいと思ったの?」


先日、「幸せ学」を研究されている慶応大学大学院の前野先生と、
「どういうメカニズムで人は変わるのか」を解明する共同研究の打ち合わせをしていたとき、先生からそんな質問を頂きました。

 

慶応大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科委員長 前野隆司 教授

 

 

私の答えはシンプルで、

人が自分のリミッターを外して、音を立てて変化するときは、
必ずと言っていいほど、
自分の【幸せ】に向かう強いエネルギーを
発していると思うから。

 

「ナチュロパシー(自然療法)で病気を治癒できる世界を創りたい」と、30半ばでグローバル大企業の要職をあっさり辞め、単身米国に渡り、6年以上を要する大学生活をものともせず「医学部受験」から始めた女性。

 

「圧倒的に妻と子供を幸せにしたい。そういう人生の歩み方を、1億3000万人ができる世の中を創りたい」─ そういって大企業の経営者になる道を自ら降りて、地元で起業する覚悟をした男性。

 

「(自分も含め)人が本当に多様な人生や仕事の選択をできる世の中を創りたい」と、
殆ど辞めかけていた自分の会社で、本当に経営者になる覚悟を決め、
自事業を通じて自分の生き様と世の中の働き方を変える本気のチャレンジをし始めた、若き女性経営者。

 

登り方は様々であるけれど、

たぶん人は、
自分がやりたいことを成し遂げ、生きたい人生を生きることを追及すること、
つまり自分が「幸せ」になることに向かってしか

音を立てて変われない。

そして私がこれまでに見た音を立てて変化した人々は、
その自分の「やりたいことをやり、生きたい人生を生きる幸せ」のベクトルの先に、
世の中の多くの人々の「幸せ」を重ねている。

 

 

前野先生の研究によると、

「幸せである」という心の状態と「経済的な成功・収入」は、一定水準を超えたとたん
必ずしも相関しなくなる。

「幸せである」という心の状態と「自分の自由時間(=ワークライフバランス)」も、実は
必ずしも相関していない。

でも、人がどういう心持ちで世の中を捉え、
どういう姿勢で自分の人生を日々生きているかは、
自分が「幸せである」という心の状態に大きく相関する。

ポジティブ心理学でも、「成功するから幸せなのではない。幸せだから成功するのだ」
と言われていて、
心の持ち様が「結果としての状態」に与えるメカニズムが実証されつつあります。

先生の研究によれば、「自分が幸せである」と思っている人の「心的要因(心の持ち方)」を、1500人のアンケート結果から因子分解してみると、以下の4つなのだそうです。

 

  1.自己実現、自己成長をしていると思えている

・コンピテンス(自分には強みがある)
・社会的要請(私は社会の要請に応えている)
・個人的成長(私のこれまでの人生は、変化、学習、成長に満ちていた)
・自己実現(今の自分は「本当になりたかった自分」である)

 

2.人とつながり、人に感謝している

・人を喜ばせる(私は人の喜ぶ顔がみたい)
・愛情(私を大切に思ってくれる人たちがいる)
・感謝(私は、人生において感謝することがたくさんある)
・親切(私は日々の生活において、他者を親切にし、手助けしたいと思っている)
 

3.前向きで楽観的である

・楽観性(私はものごとが思い通りに行くと思う)
・気持ちの切り替え(私は学校や仕事での失敗や不安な感情をあまり引きずらない)
・積極的な他者関係(私は他者との近しい関係を維持することができる)
・自己受容(自分は人生で多くのことを達成してきた)
 

4. 独立的でマイペースである

・社会的比較思考がない(私は自分のすることと他者がすることをあまり比較しない)
・外部制約に拘らない(私に何ができて何ができないかは、外部制約のせいではない)
・自己概念が明確(自分自身の信念はあまり変化しない)
・最大効果の追求(あまり頻繁にチャンネルを変えることなく、一貫して集中できる)

 

うわー、、すごくわかるなあ、、と。

振り返ると、
自分が企業変革パートナーとして接してきた人々の自己変容のプロセスは、まさに、この4つのベクトルに向かう旅路だったように思うのです。

「貴方が本当に成し遂げたいこと、実現したい世界はとは一体何か」
「なぜ、それを成し遂げたいのか。そう思うに至った自分の原体験は何か」

という2つのシンプルな問いに真剣に向き合い、答えをだすことで
たった数か月の間に人が音を立てて変容していく理由。

その人たちが、
必ず「自分のやりたいことを成し遂げ、自分らしく生きる幸せ」のベクトルの先に、
「世の中の人々の幸せ」を重ねている理由。

人が自分の「リミッター」を一気に外すときは、
きっとすべて、
この4つの「幸せ因子」のベクトルに向かって、
一歩大きく踏み出す時に他ならないんじゃないだろうか。

2050年の激動の未来を見据えたとき
自分の「プロフェッション」=自分は人生でどんなミッションを達成していく人かを決め、
それをしなやかに実現していくことが何よりも大事であると、
私自身が確信している理由も、
きっとすべて、ここに繋がっていくんじゃないだろうか。

 

人が「リミッターを外す」メカニズムを科学的に解明することは、

「人々がより豊かに、幸せに生きるために必要な仕掛けは何か」

を科学的に解明すること。

 

前野先生との共同研究が、ものすごく楽しみになってしまった、
とても刺激的な打ち合わせでした。

 

前野先生のご著書「幸せのメカニズム」はこちら。

ログミーで紹介頂いた「2050年を見据えたキャリアの創り方」(by佐々木)はこちら。

 

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